本当の安全はどこにあるのだろう。クラッカーを阻止するためにはクラックする手順を知らなければいけない。その手順を知ったとして,それを利用してより高い安全を入手するか,それを利用して悪事を働くかは,その人間の品性次第,なのだ。
米国イーアイ社が,ウインドウズNTのウェブサーバーを乗っ取ることができるセキュリティホールを発見し,ウェブ上でその侵入コードを公開した。マイクロソフト社は早急にパッチを出す用意を進めているが,とりあえずウェブ上でこの問題に対処するための臨時の回避策を公開した。マイクロソフト社側は「責任感あるセキュリティ企業なら,罪のない人に攻撃を加えることのできるツールを提供はしないだろう」と反発を強めている。対するイーアイ社は「我々は問題を発見して6月8日に彼らに通知した。だが1週間経ってもそれに対する修正も返事もなかった」と云っている。
常にこの世界では,危険と安全は表裏一体だ。地雷をよけて通れるものは地雷のことをよく理解しているものだ。昨今のハッキング本の乱発は,それらをシステム管理者が知っていればばクラッカーを阻止できる,と云うことで正当化される。まずは危険について知ること,それによって本当の安全を得ることができる,とも云える。ならば,イーアイ社の行動は100%,正当化できるのだが,あなたはどう思うだろうか?
MSの発言も理解できないでもない。でもそのウェブサーバーがECを行っていて,多くの人のクレジットカード番号が登録されていて,それを入手することを許すほどの大きなセキュリティーホールに1週間以上も対応できないなんて,問題が大きすぎる。またそれに対する回避策も,MSが公開したものはユーザーがパスワードの変更ができなくなるなどの副作用が出るが,イーアイ社の提示した回避策ではそんなことも起きないらしい。MSは,NTにしてもIEのときも散々セキュリティーについて叩かれたが,今度の騒ぎでもその傷を深くしているだろう。ユーザーも自分の安全がかかっているのだから,同情なんてする必要ないしね。
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